パクリジナルの技術 ~何をパクリ、どうオリジナルを生みだすのか~ (経済界新書)
木下 晃伸 経済界 2012-12-15
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成功者は他人をうまくパクっている
本書で語られているパクリジナルとは、「パクる」ことを続けているうちに、「オリジナル」のある人になっていくという手法のことです。
新製品が出るとすぐに他の会社から類似製品が販売されるように、パクリ、パクられるのは当たり前。ただ成功者は、他人をうまくパクっているというのが著者の見解。
日本の経営者
ソフトバンクの孫正義氏は、1990年代に当時の日本より10年以上進んでいたアメリカの最先端の情報をパクリ、日本に持ち込んで成功した。
ニトリの似鳥昭雄氏は、1970年代に米国のチェーンストア理論を日本に普及させた渥美俊一氏をパクリ、成功した。
ファーストリテイリングの柳井正氏は、ユニクロの商品を消費者に直接訴えるCMをナイキからパクリ、成功した。
アップルのスティーブ・ジョブズ氏も、ナップスターをパクってiTunesに、キャサディ&グリーン社の「サウンドジャム MP」をパクってiPodを含めたシステムにした。
パクるだけではダメ
守破離もそうですが、何かを始める場合にまずパクる、つまり真似ることが大切だということは多くの人が知っています。
しかし上手くいかない、自分のものにならないという場合、「オリジナル」にできていないことが原因。
仕組みではなく人をパクる
パクる対象を間違えている人が多い。仕組みを真似るのではなく、「ヒト」。
奇才を見つけ、その人自身をパクる。
ヒトをパクるにはそのヒトの一番弟子になる
その人の考え方を聞いて同じように考え方にする。
(例えば、その人が温暖化に賛成であれば自分も賛成。ドローンが大好きなら自分もドローンを好きになる)
ラッキーナンバーがあれば自分もその番号をラッキーナンバーにする。
聴いている音楽を自分も聴いてみる。
フライングとハッタリ
奇才は未来を先に見ているから、圧倒的なフライングをする。
孫正義氏は高校生の時に、日本マクドナルド創業者の藤田田氏に「面会をしたい」と何度も連絡し、九州から東京まで出向いて日参、ようやくかなった面会で「これからアメリカで学ぶべきこと」だけを訪ねた。コンピューターを学ぶべきと教えられ、アメリカへ。その後、自動翻訳機を開発されています。
奇才は確信を持っているから、ハッタリをかますことができる。
孫正義氏は「豆腐を数えるように、1兆、2兆という会社をつくる」。
藤田田氏は「日本人の食習慣を変えてみせる」
奇才をパクることで、未来への確信も持つことができ、フライングやハッタリもできるようになる。
なによりアウトプット
奇才はアタマを整理するのではなく、どんどんアウトプットして忘れ、残った大事なことを大切にする。
アウトプットして忘れていくと、次第にアウトプットしたくなるような情報が向こうから飛び込んでくるようになり、
それを続けることで「量が質に変化」する。
承認を求めない
フェイスブックに投稿して「いいね」をもらうかどうかなんてどうでもいい。
自分が能動的に奇才の話を紹介する。誰一人満足しない話でも、超自己満足でいい。
奇才のアタマを紹介して自分に取り入れていくと、自分がオリジナリティーを発揮するようになる。
まとめ
ここまで紹介した話が第1章。第2章〜第5章では更に具体的な話が惜しげもなく紹介されている。
なんて濃い本だ。とはいえ約200ページで通勤中などでも軽く読める。
何気なく手に取ったものの、とてもタメになりました。
AIの未来
この本は2012年に書かれたものですが、AIについて、2010年 孫正義氏の発表に衝撃を覚えたとあります。
2018年の現在、より現実味を持ったこの内容に私も衝撃を受けました。
* 1チップの中に入っているトランジスタの数が脳細胞の数を超えるのは2018年
* これから300年、人類は人間の脳を超えるものがはじめて地球上に生まれるという人類史上最大のパラダイムシフトを体験することになる
脳細胞の数やムーアの法則(集積回路上のトランジスタ数が「18か月ごとに倍になる」)は修正があり誤差もあると思われますが、それでも数年〜十数年ほどでしょうか。
人間の脳を超えるものが生まれる、というのは既に浸透しているように感じますが、やはり改めて衝撃でした。
これからやろうと思ったこと
- まず奇才を知る、知らないだけで優れた人はたくさんいる。たくさん触れれば感動や衝撃を受ける相手に出会える。
- そのヒトを徹底的に調べて好きなものを真似る
- そのヒトの言葉や考え方をブログで紹介する
- ジコチューで行こう!(笑)